小説 わたしを離さないで
2005年に発表された、カズオ・イシグロの長編小説です。
綾瀬はるか主演のドラマの印象が強い、という人も多いかと。亡くなられた三浦春馬さんも出ていましたね。ご冥福をお祈りします。
2010年には、イギリスで映画化されていて、英国インディペンデント映画賞やハリウッド映画祭で受賞しています。
さて、読んだ感想です。
カズオ・イシグロが、ノーベル文学賞を受賞する以前に読んでいて、その時は、この人が受賞するとは、正直思えませんでした。
ネタバレになるので、あらすじには触れませんが、淡々とした日常を綴る内容です。
どんでん返しや、伏線をふりまく近年の作品に慣れてしまっている世代には、退屈な作品である、と言わざるを得ません。
ある程度の感情移入がなければ、読む事に苦痛を感じると思います。
辛辣な感想ですよね💦
ただですね・・・・・・ 僕が小説を読んで、夢にうなされた作品は、この小説以外にはないのですよ。
考えましたよ。「うーん」て感じで読んでいた作品が夢に出てきて、しかもうなされるなんて。
考えに考えた結果、答えが出ました。
それは、リアリティだったのです。
突拍子もないSF設定ではなく、近い将来実現してそうな世界。淡々と綴る日記のような内容。深層心理に影響を受けていたんですね。
そう考えると、この人の作品がノーベル文学賞を受賞するのは当然の結果なのかと。
小説力、文章の力を体感したい人におすすめします。
へるめーす君check!
※皆におすすめ :★★☆☆☆
※ドラマを見た人 :★★★☆☆
※イシグロ作品初心者:★★☆☆☆
※小説力を体感したい:★★★★☆
思ったことが、もう一つ。
それは、翻訳の問題でしょうか。
英語の作品ですから、やはり日本語に訳される段階で、原作本来の表現が損なわれてしまう(その国の言葉では表せない=その国の言葉で近い表現に)という事があるのではないのかと。
レビューにバラつきがあるのは、こういう問題が根底にあるように思います。