小説 カタコンベ
今回紹介するのは、第50回江戸川乱歩賞受賞作のカタコンベです。
タイトルのカタコンベとは、もともとローマやその周辺の地下墓地の名称なんですね。それで、岩屋や洞窟なども広くカタコンベと言われるようになったのだとか。
表紙絵を見てもらうと、ダイバーが描かれてませんか?
そうです、この物語の主人公はダイバーです。それもケイブダイバー✋
ダイバーとは主に、海などの広い水中に潜るもの全般を指すのでしょうか。
ケイブダイバーのケイブとは、洞窟のこと。すなわち、ケイブダイバーとは、水中洞窟専門のダイバーですね。
狭く、入り組んだ水中洞窟へ挑むダイバーを主人公に、静かにそして衝撃の展開で物語が進んで行きます。
突然ですが、僕は山に登ります。
洞窟探索とは、登山に近いものであるような漠然とした感覚を持って読み始めました。
やっぱり、全然別物でしたね💦
登山は、遭難、落石、滑落、大型の獣等々、常に命の危険と隣り合わせです。
洞窟探索(この小説では調査隊の救助です)も、読んでいて同じような危険が隣り合わせなのが分りました。
しかし、自然光の届かない真っ暗闇な環境の中、大自然を上に行く登山とは対照的に、地獄の底へでも降りてゆくような感覚。恐怖と緊張感が、常に付き纏うのです。
自然光の届かない真っ暗闇の洞穴。まさに、カタコンベです。出口の見えない地下墓地を、深く深く降りてゆく感覚。恐怖そのものでしかありません。
読んでいて、
懐中電灯を用意しないと。それがダメになったらどうするの?
予備を持って行こう
その予備がダメになったら?
自然と自問自答を繰り返していました。それだけ、リアルに感じる小説なのです。
ここまで記事を読むと、冒険小説と思うでしょう。そこは江戸川乱歩賞受賞作です。
ただの、冒険小説でないことは、お分かり頂けるかと思います。
ズバリ、傑作です。映画化されればいいのに・・・・・・
お薦めするのは、女性・男性を問わず全世代の方です。エンタメ性高すぎ。
あえて言うなら、登山愛好者は読んで下さい。山岳ものの小説とは真逆の世界が待っています。
へるめーす君check!
※知らない世界を体験したい :★★★★★
※洋館で起きる連続殺人に飽きた:★★★★★
※ケイビングに挑戦したい :★☆☆☆☆
※志村、後ろ! :★★★★★
この小説を読むと、洞窟探索なんて怖すぎて出来ません。是非感想をお聞かせ下さい。